「ずっと涼子を 抱いているだけでいい。」

羽田空港で 圭介は 言ったけれど。


せっかく 旅行に来たのに 

私達は ほとんど観光を しなかった。


外に出て 日焼けしては いけないし。

どうせ 私達は 写真も残せないから。


私達を 知っている人が いない街なのに。

やっぱり心から 解放されることは できない。


贅沢なホテルは 快適で 居心地がいいから。

翌日 私達は ほとんど ホテルで過ごした。



「涼子。先月の写真 よく撮れていたね。」

「ホント?どの写真が良かった?」

「赤いセーターのやつ。あの髪型 涼子に似合ってたよ。」

「嬉しい…でも私 もう30才だから。そろそろ ジャンルを変えないと。」

昼間から 私達は ベッドを漂い。

圭介に 求められるまま 全てを許し。


凪いだ時間に 交わす会話が 

私は 好きだったから。


話し好きな 圭介は いつも陽気で。


「ハハハッ。大丈夫だよ。涼子は 主婦の生活感が ないから。まだ OL向けの写真で いけるよ。」

「そうかしら?これでも 家事は ちゃんとしているのよ?」

「どうかな?旦那は 留守がちで 家事って言っても たいしたこと ないだろう?」

「まあね。料理も あんまりしないし。」


「へぇ。愛されているなぁ。最近の涼子 若い頃より すっと綺麗だもん。」

「ありがとう。もしかして 圭介のおかげじゃない?」

「そうかな?なら 嬉しいな。」


圭介は 単純で いつも明るくて。

一緒にいても 気を使わない。


愛されているとは 思ってないけど。

浮気相手としては 合格だった。


「涼子… キスして…」

「んっ?もう…?」

「だって。涼子の身体 最高なんだもん…」


少し甘えた口調で そんな風に 言われると

私は 圭介を 喜ばせたくなる。


自分は 望んでいなくても…