私の希望通り 美ら海水族館を観て。

ホテルに入ったのは 夕方だった。


首里城を思わせる ホテルの外観は エキゾチックで。

丁寧なおもてなしと 清潔な館内に 満足して。


部屋に入ると すぐに 圭介は 私を抱き寄せる。


「んんっ。圭介…」

「もう 限界…涼子…」


せっかちに 求められ ベッドに倒れ込む。


「どうしたの… 圭介…?」

「涼子が 可愛いから…」


熱いキスの合間に 問いかける私は

圭介よりも ずっと 冷静だった。


情熱的な 圭介に 全てを委ねてみても

心から離れない 京一が 

私の集中を 邪魔する。


『違う…』 『そこじゃない…』 『もっと ゆっくり…』


言葉にできない思いを 隠したまま

圭介を 満たすための 演技をする私。


やっと 圭介に解放されて…


裸のまま ベッドで抱き合う時間。

私は この時間だけが 好きだった。



圭介には 満たされないと 知ってから

私は むしろ大胆に 圭介に応える。


圭介との 行為を 私は 求めていないから。

少しでも 早く終えるために…


醒めた心を 隠して 圭介を満足させる。

それなのに 圭介を 拒まない私。


圭介は 私の本心に 全く 気付いていない。

自信満々に 私を 抱き寄せるけど。


私が 圭介に求めているのは

肌のぬくもりと 凪いだ時間。


「涼子…最高だったよ。」

「うん。私も…」


静かに 私の肌を 弄る指に 

やっと 私は 安心して 目を閉じる。