私は 京一に 愛されていると思う。

お金も時間も 自由に使うことを 許され。


忙しい自分を 責めるように

一緒の時間は 私を大切にしてくれる。


私は 今の幸せを 疑わないけれど…


「出発の前なのに 診察するの?」

「申し送りだけ。気になる患者さんが 何人かいるから。」

「そう…時々 連絡してね。」

「そうだね。時差があるから ラインを送るよ。」

「夜中でも 大丈夫なのに。」

「夜更かしすると 肌荒れするよ?」

「あら。まだ若いから 大丈夫よ。」


京一より 10才年下の私を

京一は いつも 子ども扱いする。


大きな スーツケースを引いて

玄関まで 見送る私を

京一は ふわりと抱き締めて。


「行ってくるね。」

と私の頭を 撫でた。


「行ってらっしゃい。気をつけてね。」

上目使いに 京一を見上げる私は

ちゃんと寂しそうな顔を していたと思う。


実際 寂しくない訳じゃないから…


私だって 京一を愛している。