「涼子 結婚したんだって?」

誰に聞いたのか 圭介は言う。

再会して 抱かれた時に…


「そうよ。もう3年前。」

「まだ 仕事 続けるの?」

「ええ。家にいても 暇だから。家事に 差支えない程度にね。」

「ご主人 それでいいって?」

「もちろん。忙しい人だから。」

「何してるの?ご主人って。」

「医師です。総合病院の。」

「へぇ…涼子 すごいなぁ。医者の奥さんか。」


圭介は 驚いた顔で 私を見た。



京一が 忙しいから 

結婚式は しないことにして。

私達は 花嫁衣装を着て 記念写真を撮影した。


その日に お互いの両親の 顔合わせをして。

私は 初めて 京一の ご両親に会った。


東北の 農家だという 京一の ご両親は 

素朴な雰囲気だけど どことなく貫禄があって。


京一を 医師にできるくらい 

恵まれた 家庭なんだろう。 


やっと 京一が 結婚したことを 喜んでくれ。

私にも 温かな態度で 接してくれた。


「涼子 ゴメンな。新婚旅行も 行けなくて。」

「ううん。京一さんに 時間ができたら 連れて行ってもらうから。大丈夫よ。」


その代わり 京一は 

驚くほど 高価な 指輪を買ってくれた。


それから3年…京一に 暇はないまま。

私達は 新婚旅行どころか

京一の実家にさえも 行けてない。