京一と 一緒に暮らし始めて

私は 仕事をセーブした。


元々 私に声がかかる仕事は

通販雑誌や 折込チラシの モデルばかりで。


どうしても 私じゃないと 

できない仕事じゃなかったから。


京一は 仕事を辞めてもいいと 言ったけど。

忙しい京一を ただ待っているのも 退屈だから。


私は 細かい仕事は 断って

雑誌などの仕事だけ 受けるようにした。


皮肉なもので 仕事を制限したら

大きな仕事が 増え始めた。


心に余裕が できたことで

私の表情が 変わったから…


「俺に抱かれて 色っぽくなったからね。」

と 京一は 嬉しそうに 笑ってくれた。



「涼子。最近 調子いいね。」

撮影が終わると 圭介は 気軽に話し掛ける。


「ありがとう。明後日も オーディションなの。」

「今の調子なら 大丈夫じゃない?また 一緒に 仕事したいから。頑張って。」


偶然なのか 圭介との仕事が 増えて。

圭介は 当然のように 私との関係を 続ける。


私は 京一を 愛していたけど。


全てを許す 京一を 歯痒く思っていた。

まるで ペットのように 愛されるだけの私。


何も 望まない京一は 本当に 満たされているの?


しかも 私達は 一緒にいられる時間が 

極端に 少なかったから…