なんだよ、これ。
「イタリアって……日本からどんだけ遠いんだよ」
隣にいる遼が、ウチが手紙を読んでるのを除き込んでため息をつく。
「時差は、9時間……」
「捺夜?何言ってんだ?」
「決めた!!!!ウチ、イタリア行く!!!!」
「あぁ、なんだ…行くのか…………って…はぁ!!!?本気かよ!!?」
「こんな時にどこの馬鹿が嘘つくって言うんだよ。
エイプリールフールじゃあるまいし。」
ウチは、履きかけた靴を脱いで自分の部屋に向かう。
実はいざと言う時のために金を貯めていたんだ。
ウチって計画的だろ?
えぇっと……。
確か、通帳はクローゼットの中のちいせぇ棚ん中に入れた気が………。
「あれ?」
ない。
なぜ?!


