「捺夜……」
「翔夜っ………」
会いたい。
会って体を壊すぐらいの力で
強く
強く
抱きしめたい。
「翔夜ぁ………」
「あぁ!!!!泣くなっ……」
遼がとっさにウチを強く抱きしめてきた。
いきなり抱きしめられたからウチの涙はピタリと止まる。
「始めてみたよ……
捺夜の涙」
当たり前だ。
人に涙を見せたのは、遼が初めてだったんだし。
ウチは
感動する映画をみたり、
ダチと喧嘩したり、
裏切られたり
父さんが死んだ時も…
絶対涙を見せなかった。
あまっちょろい事じゃ、泣いたりしなかった。
だからウチは、母さんにさえ見せた事がない。
でも、
翔夜の事を考えると
毎日のように声を押し殺して
ベットに顔を押し付けて
泣いていた。


