あれから、約1年後。

速水くんの両親から、
彼が亡くなったという電話が来た。

『碧から、自分が死んだら
この番号に掛けてくれと言われて。』

不思議そうに言う速水くんの
お母さんの言葉に思わず涙ぐむ。

高校生くんを抱き締めたとき
彼の体温が低いことに気付いたし、
倒れたときのことを思い返すと
相当な無理をしていたんだと思う。

『如月さんのこと、嫌いですから。』

君が私に向けて最後に言った言葉。
語尾が少し、震えていた。

「演じるなら、最後まで完璧に
しなくちゃダメだよ、高校生くん。」

彼の葬儀に参列して、珍しく笑い顔の
遺影に向かって語りかける。

君は、どこまでいっても素直だ。