「ヒロ、じいちゃんと約束してほしいことがある。真夜中に絶対に部屋の外に出てはいけないよ」

「う、うん。わかった……」

おじいちゃんがどこか怖くて、僕は頷いた。でも久しぶりに田舎の友達に会ったり、おばあちゃんの手料理を楽しむうちにおじいちゃんの約束は忘れてしまったんだ。

「……んんっ。今は夜中の一時か」

夜中、僕は目を覚ました。普段は眠っているはずなのに、何故か目覚めてしまった。家の明かりは全て消えて、静まり返っていて不気味だ。

とりあえず、もう一度眠ろうと僕が目を閉じようとすると、ズルズルと廊下を何かが這うような音がする。最初は気のせいかと思ったけど、この音は間違いなく移動していて僕のいる部屋の前に近づいている。

「誰?」

僕がドアを開けると、廊下には誰もいない。真っ暗な廊下が広がっているだけだ。ホッとした刹那、おじいちゃんに言われたことを思い出す。その刹那、耳鳴りが鳴り始めた。