「琴子は小さい頃から勇斗くん大好きで、いつも追いかけ回してたもんね」

「……」

そんな、小さな頃の思い出話か……ビックリした。


「大和くんは、そんな琴子をずっと追いかけ回して」

クスクスと笑うお母さん。


「え、大和が?」

「そうよー。年の離れた勇斗くんはいつも違う友達が一緒で。その勇斗くんを追いかける琴子。そして琴子を追いかける大和くん。それがいつもの3人だったわね」

「……それが、いつもの3人……」


本当にこの三角関係は昔からのものだったんだ……。


『オレの気持ちも知らないで』



「……」

本当だ……私は大和のことなんて何も知らなかった。

勇ちゃんが私の方を向いてくれないように、私は大和のことを振り返ることはなかった。

そのくせ、いつも『私はこんなにも想っていたのに……』って、勇ちゃんへ文句ばっかりだった。

こんなんじゃ人のこと言えないよね……今まで何も気付かなかったって、本当に私って大バカ……。