その手をぎゅっと掴めたら。


ーー可愛い。
ぐるぐるとその言葉が頭をこだまする。

私は曖昧に笑うことしかできなかった。
ど、どんな反応をすれば正解なの?



今度は2人並んで歩く。

バス停まで歩いて、そこから5つ先の大きな公園に向かうことになった。

遊具は充実しているし、手入れの行き届いた季節の花々が咲き誇るその公園はフリースペースも広く、お弁当を広げるには絶好な場所だ。


「今日はいつものトートバッグじゃないんだね」

「お弁当が入るように大きめにしたの」


おじいちゃん力作のトートバッグはお留守番だ。
亜夜から借りたストライプのトートバッグはお弁当と水筒を入れてもまだ余裕がある。

小さめのショルダーバッグには必要最低限のものを詰めてきた。亜夜からのアドバイスを受け、一応、メイク直しのための道具も。


「持つよ」

「え?大丈夫だよ、重くないし」

「いいから」

半ば強引にトートバッグを奪われる。


「弁当、ありがとう」

「ううん。期待しすぎないでね」


最初こそ雲行きが怪しかったものの、楽しい時間が過ごせそうで安心した。