その手をぎゅっと掴めたら。


道の真ん中で立ち止まる私たちを行き交う人々が避けて通る。


「別に、なんも思わない」

「はい…」

「ただの昔馴染みってだけ。行くよ」


葉山くんは私の返事を待たずに歩き出す。
それはいつものことだけれど、今日は少しその歩調が速かった。


怒るよね、普通に。
これからデートっていうところで、なんで余計なことを言っちゃうかな…。


「葉山くん…」


謝ればいい?なかったことにしてとお願いすればいい?どうしたら…。


「それより、制服じゃない佐野って新鮮だね」


くるりと振り返り、少し遅れた私を待ってくれた葉山くんは笑った。


「君の方が、可愛い」


周囲の雑踏が一瞬にして消えた。