その手をぎゅっと掴めたら。


亜夜にセットしてもらったボブヘアーの毛先は絶妙な具合でカールし、少しは女の子らしく見える。買ったばかりのワンピースは気分を明るくしてくれた。


デート当日。

早起きしてお弁当を作り、準備は万端だ。
予定より30分程早く、学校の最寄駅に着いた。

毎朝、憂鬱な気持ちで向かうその駅が今日は鮮やかに映る。


「張り切りすぎちゃったなぁ」


駅に隣接する本屋で時間を潰そうと立ち寄り、入り口で足を止めた。


何気なく店内を見渡すと雑誌コーナーにいる見知った顔に、思わず後退りすることになった。


雑誌を捲る葉山くんの肩に手を置いて笑いかける新山さくらさん。生徒会長だ。

なにを話しているかは分からない。

後ろめたいことなどなにもないのに、2人に話しかけられずに本屋を立ち去った私はひとり溜息を着く。


2人でいるところを見るのはこれで2度目だ。親しげな間柄だと感じ取れる。


本日は開校記念日でもちろん生徒会長も制服でなく、スタイルの良さを強調する私服を着込んでいた。

ショートスカートから覗く美脚は男性の目を奪うだろう。

奮発して買ったロングスカートが急に霞んで見える。せっかくのデートなんだし、もっと背伸びをすれば良かった…。生徒会長の私服を見た後では私の格好はひどく幼稚だ。