その手をぎゅっと掴めたら。


進学校のため、ほとんどの者が塾に入っていて土曜日は空いていないようだ。


視線を感じる。

なかなかホームルームが終わらないことへの苛立ちのこもった目で、何人かのクラスメートがちらちらと私を見てくる。


暇なんだから、やれよ。
そんな視線だ。


無理だよ…。
私では学校のイメージを悪くしてしまうだけ。


そう分かっていても、
みんなの視線に耐えきれずに、そっと手を挙げる。


「……私で、良ければ」


前田先生と目が合う。


また、いい人を演じようとしている。



「佐野、本当に大丈夫か?無理しな…」


「俺もやります」


前田先生が言い終わらない内に、葉山くんの言葉が上乗せされた。


葉山くん?


「俺も暇なんで」


そう明らかに面倒くさそうに付け加えられた台詞に前田先生が頷く。


「それじゃぁ葉山と、佐野、お願いできるか」

「はい」


今度ははっきりと返事をする。

また葉山くんに助けられてしまった。