その手をぎゅっと掴めたら。


「イマドキの高校生って、面白いね」


恒例の金曜日。
いつもと同じ時間に青山さんはやってきて、いつもと同じ席でオリジナルコーヒーを口にする。


早速、英語の小テストのことを打ち明けた。


「うーん、普通の高校生ってどんな感じなのでしょうね。私の人生で友達って、亜夜と凛ちゃんたちのみなので、イマドキかもよく分からないのですが…青山さんは友達多そうです」


爽やかな雰囲気を纏い、気さくな青山さんはクラスの中心的存在なのだろうと容易に想像できる。
こうして悩みも気楽に相談できるし、後輩にも人気だろうなぁ。


「確かに友達は多いかな。でもまぁ本音で付き合える友達なんて、なかなか出逢えないよ?俺も親友はひとりだけだし」


「青山さんの親友もひとりですか…それじゃぁ私と同じだ」


「うん。だから凛ちゃん?たちのことも焦る必要はないと思うよ。必ずしも彼女たちと友達で居る必要はないと思うんだよね」


「はい…」


黒縁メガネの奥で、真剣な眼差しの青山さんとかち合う。

心配させちゃったかな。
それでも凛ちゃんとは距離を置くことが正しいと心では分かっていても、そうしたくない自分がいるんだ。