その手をぎゅっと掴めたら。


お昼は葉山くんと一緒に食べることが日常になった。

最初こそは隣りで食べることに緊張していたようでご飯の味がよく分からなかったが、それも次第に慣れ、雑談をしながら楽しいランチタイムを過ごせるようになった。


「来週の水曜日、すごく楽しみ。開校記念日、最高!」


「そうだね」


葉山くんは毎日飽きもせずにブラックコーヒーと焼きそばパンを食べている。


「私、お弁当作ってもいいかな?カフェの予約が15時だから、その前に軽めにお昼がいいかなって…」


平日でも変わらず人気のカフェのようで、夕方まで予約が埋まっていた。
だから、という理由をつけて手作り弁当を提案してみる。

初デートで手作りって張り切りすぎ?ひかれる?


「あ、葉山くんは忙しいと思うし、15時に待ち合わせでも全然大丈夫だよ!」


「君が平気なら俺は問題ないよ。弁当も嬉しいし」


「本当?無理してない?」


「なんで俺が無理するの。大変なのは君でしょ」


「そっか、良かった!お弁当、持っていくね」


「ありがと」


嫌そうな反応ではなくて、良かった…。
そっと息を吐いた。