葉山くんのことばかり考えているけれど、問題は他にもある。凛ちゃんたちと今日は話せるといいな…。
より一層強い風が吹くと、机の上に立てかけてあった誰かの教科書が床に落ちた。
「……いたんだ」
その音に葉山くんが顔を上げる。そして手を伸ばして教科書を拾い、隣の席に軽く投げた。
「今、来たところだよ」
「そう」
「葉山くんも今日は早いね」
「たまたまだけど」
眠たいのかいつもより少しだけ目が細くなり、その気怠げな雰囲気の中に色気がある。どんな時でも絵になる人だ。
「…………葉山くん、もしかして落書きのことを気にして早く来てくれた?」


