その手をぎゅっと掴めたら。


作ってきてもいいのだろうか。
私の手作りのお弁当であれば食べてくれる?

「たまに。受け取らないけど」

うん、頑なに断っている葉山くんの姿は容易に想像できます。


「この間も他校の可愛い女の子に告白されたのでしょう?普通だったら、揺らぎそう」

「俺のこと、なんにも知らないのにね」

「付き合ってから知れることもたくさんあると思うよ」

私たちだってそうでしょ?とは言えない。


「俺は別に知りたくない」

「そ、そっか」


今こうして葉山くんの隣りにいられることはやっぱり奇跡のようなものだ。


「でもまぁ、安心した。君にも親友がいて」

「安心?」

「1年の頃、たまに君のこと見かけるとひとりだったから。俺も人のことは言えないけどね」