その手をぎゅっと掴めたら。


私もウインナーを口にする。タコの形になっていて、亜夜は見かけに寄らずマメな性格だ。


「葉山くんも食べる?」

男の子なのにパンひとつは少ないよね?
痩せているから食が細いのかもしれないけれど、もっと食べたほうがいいと思う。

「いらない」

「亜夜、親友は料理得意だから美味しいよ?」

「君は料理するの?」

「するよ。平日は亜夜に任せっきりだから、休日はなるべく作るようにしてるんだ」


串刺しにされた卵焼きとベーコンのサンドを葉山くんに差し出したが、彼は首を振った。


「君の手作りは有難いけど、他の子のはいらない」


きっぱりとした返答に、串を落としそうになり慌てて口に放り込む。

私だけが、特別扱い。
さっきのお誘いといい、彼女扱いされていることにいちいち心臓がドキドキと高鳴る。


「もしかして葉山くん、ファンから差し入れを色々もらってるの?」


誤魔化すように質問を変えた。