その手をぎゅっと掴めたら。


「ち、違うの!心配をかけたくなかっただけ。これくらいの間接的な嫌がらは我慢できるから!」


「俺は、我慢できない」


慌てて否定する私とは対照的に冷静な声だった。


「君を傷つける行為は、どんな小さいことであっても俺は許せない」


「葉山くん…」


「付き合って間もない癖して、なに?彼氏顔してるの?って思うかもしんないけど…俺、君とは真剣に付き合っているつもりだから」


葉山くんの言葉は素直に嬉しい。私なんかには勿体無いくらいに。

それと同時に胸が締め付けられる。私はまだ葉山くんに嘘告白のことを話せていない。でも打ち明けることで彼を傷付けてしまいそうで、それなら墓場まで持って行くべきかとも思う。

けれどもう一度あの日に戻れたとして、やり直すことができてもやっぱり同じ選択をすると思うんだ。

だってあの罰ゲームがなかったら、こうして葉山くんに近付くことはできなかったから。