その手をぎゅっと掴めたら。


私の発言に葉山くんは溜息をついた。
細かいこと気にする面倒くさい女って思われたかな。


「言葉足らずだった。生徒会室でお昼を食べようと思ったわけじゃないんだ」


「え?じゃぁなにしに…」


「文化祭に使った道具の一部は生徒会室に保管されているんだ。だから、スプレーを取りに」


「スプレー?」


「君の机の落書き?消せるかなって思って、前の休み時間に生徒会長から鍵を借りたんだ」


「え?落書きのこと、気付いてたの?」


上手く教科書を積んで隠しているつもりだったのに。


「おかしいでしょ。数学の時間に関係ない英語の教科書や単語帳やら…普通に気付く。そこに見せたくないものがあるのかなって」


鋭い指摘に、俯く。
ああ、知られちゃったか…。
でも私のためにわざわざ鍵を借りてくれてたんだ。


「話してくれたら良かったのに」


葉山くんは私の肩をとんとん、とリズミカルに叩き、そして困ったように笑った。


「俺って、そんなに頼りない?」