その手をぎゅっと掴めたら。


最上階まで階段を上り、廊下を突き当たると生徒会室が見えた。

葉山くんはポケットから鍵を取り出して扉を開けた。

生徒会メンバーでないはずの葉山くんが鍵を持っているということは昨日、下駄箱で話していた生徒会長から預かっているのかもしれない。

先に葉山くんは入ってしまったけれど、入り口の前で立ち止まる。

幸い電気は消えていて話し声は聞こえない。

でも部外者の私が勝手に入っていいものなの?


「佐野?」

「…やっぱり、私、教室戻るね」

「は?」


理由は分からないけど、もやもやする。


踵を返すと、強い力で引き戻された。


「なっ、」


葉山くんの手が私の右肩を掴む。
逃さないと、力を込められて。


「俺は、俺から離れて行く者を引き止めたりはしない」

葉山くん?


「でもさっきの、感じ悪かったから謝っとく。ごめん」

「さっきの?」


肩をくるっと回されて向き合うかたちになる。

目が合った葉山くんは怒ってはいないけれど、無表情だった。