その手をぎゅっと掴めたら。


葉山くんにとってはなんてことないこと、もしくは慣れていることかもしれないけれど。こっちは違うんです!


「こ、コーヒーはブラックが好きなの?」


咄嗟に口から出たごまかしの言葉。


「ああ」


葉山くんが飲んでいるブラックコーヒーは有名なものだけれど、甘党の私は一口も飲んだことがなかった。大人の味だろうから。


「私、コーヒー淹れるの上手いんだよ。おじいちゃんが喫茶店やってて、たまに手伝っていました。良かったら今度ーー」

「そうなんだ」


特に興味なさそうな反応だ。
良かったら今度?その続きを想像して、首を振る。さすがに校外まで私たちは会わないよね。
おかしなことを口走るところだった、セーフ。

うーん、難しい。葉山くんと共通の話題を見つけることすら一苦労だろう。


「いつも俺が食べてる所でいい?」

「もちろん」

でもこうして一緒にお昼を食べてくれるし、それだけで十分だよね。