その手をぎゅっと掴めたら。


お弁当を持って後をついて行くと、葉山くんは校内販売の焼きそばパンと、自販機でブラックコーヒーを買った。


「君はなにがいいの?」

100円を投入した後で聞いてくれた。一律100円は学生にとってありがたいが、奢ってもらえる日が来るなんて。友達みたいで嬉しい。…いや、彼氏だった。


「ミルクティー!」

「ん」

「お財布、教室だから後ででもいい?」

やっぱ悪いよね。


「俺の奢りでいいよ」

「でも、」

払うよ、と言いかけて、ポイッとミルクティーを投げつけられる。


「奢るのなんてフツーだろ。彼氏ですから」

「……」


受け取ったミルクティーは一瞬だけ冷んやりと感じたけれど、すぐに全身が熱を帯びた気がした。

照れた様子もなくさらりと言い切った彼は平然とコーヒーのプルタブを開けた。