その手をぎゅっと掴めたら。


凛ちゃんと話さないまま昼休みになり、私が振り返った時にはもう教室を出て行ってしまった。早紀ちゃんも私を避けるように遠回りして廊下へ出て行く。雪ちゃんはやっぱりお休みだった。


そっと葉山くんを見るとちょうど立ち上がったところで、手に黒い長財布を持っている。お昼を買いに行くようだ。

一緒に食べようと誘ってもいいものか。
それともいきなり彼女気取りは迷惑かな。


迷っていると、目が合う。


「君もパン買いに行くの?」

「あ、えっと…」

首を振る。亜夜が作ってくれたお弁当があるから、パンはいらない。

葉山くんは一匹狼だし、お昼もひとりで食べたいタイプだよね。邪魔しちゃ悪いか。


「ううん、なんでもない」

「今日は清水たちと食べないの?」

「……」

「ひとりなら、おいで」

柔らかな響きが込められた言葉に葉山くんを見上げたけれど、彼は私の返事を待たずに歩き出してしまった。

誘われた?ついて行ってもいいの?