その手をぎゅっと掴めたら。


ホームルーム開始のチャイムが鳴り響くと同時に、凛ちゃんは大股で教室に入ってきた。


「凛ちゃん、おはよう」

「……」


先程、早紀ちゃんに声をかけても同じ反応だった。雪ちゃんはまだ登校していない。いつも早めに登校しているから、今日は休みだろうか。


「凛ちゃん、今日、話せる?」

「……」


ああ、中学の頃もこうだったな。
クラスメートに話しかけても聞こえないフリをされた。今まで普通に話くれていた友達に距離を置かれ、ひとりぼっちになった。


「凛ちゃん…」


凛ちゃんは私の顔も見ずに携帯を取り出した。
こういう時、なにをしても無駄だって心の中では分かってる。


「…ごめんね」


謝ることは違うと思うけど、それしか言えなかった。