その手をぎゅっと掴めたら。


結局いつもと同じ時間に校門をくぐり、教室に着いた。

そして一気に目が覚める。

机の上に、殴り書きされた"ブス"という文字ーー私の机だ。

太いマジックで机いっぱいに書かれたそれは指で強く擦っても落ちなかった。油性だろうな…。


既に登校していた朝練終わりの男子生徒は哀れみの目を私に向け、今朝は口を閉ざしていた。私の朝は早い方で女子生徒の姿はない。

幸い葉山くんもまだ登校しておらず、愛用のトートバッグで文字を隠す。授業中は教科書で隠して、家にある油性マジックを消せるスプレーを持って来よう。


こんなの、慣れっこだし。


「あ、葉山…お、おはよ」


男子生徒の声に顔を上げる。


「おはよ」


葉山くんはそう答えて、私の隣りに立った。