その手をぎゅっと掴めたら。


止めて、そう強く主張できなかった私にも非はあった。それから陰口を叩かれるものの、面と向かって嫌がらせを受けることはなくなった。

牽制の意味も込めて、亜夜は暇さえあれば私に声をかけてくれた。一緒にお昼も食べてくれた。

私は、救われた。


だから、亜夜は私の憧れなのだ。


「自分と付き合う女の子が嫌がらせを受けるくらいなら、葉山くんは誰とも付き合いたくないって思ってる。だから力になりたいと思ったの。嫌がらせを受けても、負けないで立ち向かえる女の子も居るってことを伝えたかった」

「そんなの、わざわざ真奈が引き受けることもないでしょう。せっかく友達もできたのだし、真奈にはデメリットしかない」

「亜夜は、メリットを考えて私を助けてくれたの?…違うよね」


あの状況下、私を助けることで、友達になることで、亜夜に良いことはひとつもなかった。損にしかならないのに、それでも手を差し伸べてくれたあの日々のことを私は決して忘れない。


「葉山くんが、私に似た女の子を想っているなら尚更、力になりたいと思う。葉山くんがーー」


「ああ、もういい!分かった、もういいから!」


亜夜は無理やりに私の口元を掌で覆った。