その手をぎゅっと掴めたら。


中学を卒業した直後から亜夜(あや)はうちに住むことになった。両親と上手くいっていなかった彼女は私と暮らせることをとても喜んでくれた。


気が強く、曲がったことが嫌いで、お世辞は口が裂けても言わないであろう自分の意思をしっかりもった高校2年生。
金髪に細い眉、少しつり気味の目と無数のピアス。見かけこそ怖いが私には優しすぎる、大切な親友だ。


「そんな奴と関わることは止めておきな」

「うん、でもせっかく付き合うことになったし…」

「なに?惚れたのか?」

眉間に寄せられた深いシワを、手を伸ばして叩く。せっかくの美人な顔が台無しだ。


「そんなんじゃないよ。中途半端な正義感のせいかな」

「訳分からん」

「私は、亜夜になりたいんだよ」

「はあ?」

ますます訳分からないと首を傾げた亜夜は頬杖をついて、きつめの口調で言う。


「私なんかに?真奈は真奈のままでいいでしょ」