その手をぎゅっと掴めたら。


さらに身体を傾けた葉山くんは至近距離で笑った。
彼は最近、よく笑う。クラスメートに話しかけられても笑うようになったものだから、モテ王子の人気は急上昇だ。


まぁ仕方ないかって譲歩している。
告白されても秒で断っているし、堂々と私を彼女と紹介してくれるから、私も平然として居られるのかな。


「観覧車を降りた後はこれ以上、幸せになってるってこと?俺、無理だわ」


「無理って?」


「真奈のことが好きすぎて、離れたくない」


「…ずっと、一緒に居るよ」


「うん」


「私も、はや…北斗のことが大好きだから」



言い終わると同時に
綺麗な顔立ちが迫り、そっと唇が触れた。


息継ぐ間もない幸せに、酔いしれる。






まだ進路も決まっていないし、未来は分からないけれど。


それでも、

幸せを呼ぶ観覧車の頂上で、口づけを交わした私たちは最上級の幸福を手に入れるのだろう。








ーーその手をぎゅっと掴めたら。




【完】2022.1.19