その手をぎゅっと掴めたら。


いやいや、私はなにも持っていない平凡以下の人間だ。


「まぁ、驚いたけど。恋愛には一生、無縁だと思ってたからさ。北斗はお見合いで仕方なく結婚する男だと思ってたわ」


「どんなイメージだよ」


「北斗の貰い手がなかったら、私が引き取ってあげるね」


「いらないし」


葉山くんは白い歯を見せて笑った。それにつられて生徒会長も笑う。

綺麗に手入れされた腰下の髪。長い足が映える短めのスカート。お似合いなんですけど…。


「早く行くぞ」

「はぁい」

外履きに履き替えた葉山くんはそう生徒会長を誘う。

彼女がいながら他の女子と帰ることはいいの?まぁ、ニセ彼女だからいいのかなぁ。

もやもやしたこの気持ちを嫉妬と呼ぶには図々しすぎて、深呼吸をして誤魔化した。