その手をぎゅっと掴めたら。


それからいつもの席に座った青山さんは、真っ赤な目をしてブレンドコーヒーを注文した。


「真奈ちゃん、色々とありがとうね」


「……いえ、私はなにも…」


コーヒーを淹れる手が震える。
涙を堪えることで精一杯だ。



「あなたがいてくれたから北斗は交差点を渡り、俺と再会できたんだ。全て、真奈ちゃんのおかげだよ」


「青山さん…」


「でもひとつ言わせて」


茶目っ気たっぷりにウインクをして青山さんは言った。


「あなたたちの恋のキューピッドは俺だから」


「…なんか、むかつく」


葉山くんが肘で突くと、青山さんは笑った。


「本当のことでしょう。まぁ出逢いこそ俺がきっかけだったとしても、ただの偽恋人で終わってたかもしれないからね。結局、俺ができたのは2人を引き合わせることだけだった」


空いた席に置いたトートバッグを手に取った青山さんは言う。


「とにかく2人が両思いになって、俺は嬉しい」


青山さんには罰ゲームでの告白のことから一部始終を伝えていたけれど、本当は全て知っていたんだね。

うわ、私、恥ずかしいことを沢山喋ってたよね…。