その手をぎゅっと掴めたら。


意味もなく水を流して、扉のフックにかけたリュックとトートバッグを引っ掴む。
人の声は聞こえてこず、下校のピークは過ぎたようだ。

足早に下駄箱に向かう。
どうか誰にも見つかりませんように。


そう願ったけれど下駄箱からは先客の話し声が聞こえ、さっと柱に身を隠す。


「北斗、付き合いだしたって本当?」

「ん」

「…休み時間に北斗のクラスに行って、どんな子か見てきたわ」

「君も暇だな」


あれは葉山くんと、生徒会長だ。
余計に帰りにくい。

「……一目で分かった。なぜ、北斗があの子を選んだか」


「……」


「……安心して。忠告も、口を挟むつもりもないから」


「……君には分かっちゃうか」


「そりゃぁ、分かるよ」


なに?なにが、分かったの?
私になにかがあるってこと?