その手をぎゅっと掴めたら。


「久しぶり、北斗」

「…夢か、夢に決まってるよな」


へらへらと笑って立ち上がった葉山くんは青山さんに近付く。
傍に寄って幻だと確認することが怖いようで、ゆっくりゆっくり距離を詰める。


「1年前から俺は、北斗の傍にいるよ。そして俺には後1時間しか、残された時間がないんだ。だから丁寧に説明ができない」


ぐっと、青山さんは距離を詰めて葉山くんの右手をとった。



「…あの日、この手をとれなくてごめん。北斗を残して、死んでごめん」


5年越しに繋がれた手と手。
もう戻ることはできないけど、あの日の後悔を精算して欲しい。


「……」


「どうしてもう一度、この世に戻って来れたかは分からないけれど、たぶん、北斗の哀しみや後悔が俺を呼んだのだと思う」


言い終わると同時に、青山さんの目から雫が溢れ出す。


私の前では現世に戻ってきた経緯を笑って語ってくれた青山さんも、本人を前にして感情を抑えることはできないだろう。

青山さんには1年の想いが詰まっているのだから。


気付いてもらえない虚無感、親友の哀しみを目の当たりした苦しみーーこの1年間、彼は様々な感情と闘ってきたのだ。