その手をぎゅっと掴めたら。


「また年明けに中学生向けの相談会があるみたいで、前田先生が参加必須だからなって、冗談で言ってたよ」


「……」


「佐野?」


名前を呼ばれてハッとする。

いけない。時計に意識をとられすぎて、全く聞いてなかった。


「ごめん、なんだっけ」


「中学生相談会が1月にもあるから、参加して欲しいって前田先生が言ってたんだ」


嫌な顔をせず、葉山くんは言い直してくれた。


「えー、断りたいなぁ」


ごめん。葉山くん。
会話が少しも頭に入って来ない。


だってもう17時まで3分を切っているんだ。



「大丈夫?まだ体調万全じゃないよね」


「…ううん。大丈夫だよ」


後、2分。
早く、早く時間になれ。