その手をぎゅっと掴めたら。


「葉山くん、温かいお茶を持って来たの。飲むでしょう」

「少しいただこうかな」


とにかく葉山くんに会えた。
ゆっくりお茶を飲む葉山くんの顔色は少しだけ回復していたが、ここに留まり続ける限り、彼の正気は吸われていく。

それはらば一刻も早く動くべきだ。
17時に間に合わなければ意味がない。


「私の家に、さの喫茶に来て欲しいの」


残酷な言葉を投下した私に対して、葉山くんは分かっていたかのように小さく頷いた。


「行けるかは分からないけど、行く努力はするよ」


それは本心のようで彼は立ち上がったけれど、私は首を振る。


「絶対に来て。そうでないとあなたは一生、後悔する」


「……行かないと、別れるとか?それは、辛いな」


小さく彼は笑ったけど、私は答えられない。
多くを語れば真実を話してしまいそうで、黙って水筒をしまった。