その手をぎゅっと掴めたら。


15時半過ぎのことだったと思う。
その姿を発見した時、ベンチから飛び上がり駆け寄る。


「葉山くん!」

「佐野」


改札口で互いに安堵した。



彼の額には汗が滲んでいて、顔色も悪い。

無理して来てくれたのだと一目で分かった。


「遅れてごめんね」


「来てくれたんだから大丈夫だよ」


「電話しようと思ったんだけど、やっぱり来なくていいって拒否されてしまいそうで、できなかった」


「同じ。私も同じことを思って、かけられなかった」


葉山くんをベンチに座らせて、タオルで額の汗を拭いた。ひどい汗の量だった。