その手をぎゅっと掴めたら。


教室に戻るとクラス中の視線が突き刺さる。
別々に戻った方が良かったかも。

凛ちゃんは机に突っ伏していて、名前を呼んでも反応がなかった。

避けられている、そう確信した昼休み。


いつもなら私たちの席の周りに早紀ちゃんと雪ちゃんがお弁当を持ってやってきて、他愛のない話をしながら過ごすけれど。
今日はチャイムと同時に3人とも教室を出て行ってしまった。


ああ、やってしまった。

せっかくできた友達はいとも簡単に離れていく。些細なことが原因で関係がこじれ、孤立していく。これって前と同じ。

中学時代に戻ったようで、胃が締め付けられる。


「俺と付き合うことで、君に嫉妬して君を傷つけようとする女子が何人も居るってこと」そう忠告してくれた葉山くんの言葉は早速、現実味を帯びた。