その手をぎゅっと掴めたら。


12月31日

ついにその日が来た。

待ち遠しかったような永遠に来てほしくなかったような複雑な感情だ。


亜夜はバンドの合宿があるらしく、昨夜から出掛けている。本当は私のためにキャンセルする予定だったらしいが、無理矢理に行ってもらった。


早起きをしておじいちゃんが残してくれた料理メモを見ながらパウンドケーキを焼き、サンドイッチを作った。


3人でパーティーができれば良いと願う。



葉山くんのことだから13時より前に駅に到着するだろうと、ダウンを羽織り、早めに店を出た。

念のためにタオルとお茶の入った水筒を持参し、駅のベンチで待つ。


彼は目立つからすぐに分かるだろうが、それでも改札口を凝視せずにはいられなかった。