その手をぎゅっと掴めたら。


結局、一度も学校に行かずに冬休みに入った。
気を使って前田先生が届けてくれたテストの点数は確認せずにいる。

亜夜は日に日にやつれていく私を心配したが、理由は聞かないでいてくれた。毎日作ってくれるお粥に感謝しかない。


12月28日 火曜日 正午
もぞもぞとベッドから起き上がり、携帯電話でメールを打つ。


「12月31日金曜日 13時。南ヶ丘駅で待っています。大切な話があります。絶対に来てください。私のことを想うなら、来てください」


今まで心配のメールをくれていた葉山くんには熱が下がらなくてという旨の内容だけ返していたが、心を鬼にして送信した。


ごめんなさい、葉山くん。
最後の一文は卑怯だと思う。


「了解。必ず、行く」


しかしは意外にも返事はすぐに来て、肯定的な内容だった。


優しい君は会って話したいと言っている彼女にその理由をメールで聞いたりしないんだ。…ごめん、分かってたよ。

ずるくて、ごめんなさい。