「どうしてもっと早くに打ち明けてくれなかったの」
残り14日。
金曜日のみ会えるというのであれば、今日を入れて後2回しか残されていない。
あまりにも短すぎる。
「もしかしたら、此処でなら、葉山くんにも会えるかもしれないのに」
もっと早く2人を会わせてあげられたかもしれないのに。今から呼びにいくには葉山くんの家は遠すぎる。
「虹ヶ丘ランドで、『言わないで』っていう俺の言葉を聞いてくれてありがとう。まさか届くと思わなかったから、驚いたよ」
葉山くんが写真を見せてくれた時、その隣りに写る好青年が、少しだけ若かったけれど青山さんそっくりで心臓が止まるかと思った。
ただ微かに聞こえた青山さんの言葉に踏み止まった。
それは泣きそうな声だったから。
「…大学生のはずの北斗が、高校生で。しかも毎日を淡々と過ごして、テニスも辞めて全然楽しそうでない。まだ俺のことを引きずっている、今の北斗とは会うべきではないと思った。会えば一時的に北斗は救われるかもしれないけれど、また俺のいなくなった世界で北斗はひとり絶望と戦うんだ。いや、戦えず、一緒に逝くと言い出すかもしれない」
まさか、葉山くんが。とは、笑い飛ばせなかった。葉山くんの中心にはいつも親友がいた。
一緒に、と後を追う可能性もある。


