その手をぎゅっと掴めたら。


「おまえの友達が1番しつこいな」

「凛ちゃん?」

「そ、清水。最後の方はイラついてた。俺にイラつかれても困るんだけど」


清水 凛。私が佐野だから、名簿順で上下という縁があって友達になれた。


「…ごめんね。私が凛ちゃんにちゃんと話さなかったから」


「おまえが謝る必要もないけど、女友達ってのは色々大変だな」


「女の子同士はね、難しいこと多いよ。葉山くんは友達作らないの?」


この流れだったら、聞いてもいいかな。


「俺?あいつらのテンションについていけないから、無理」


葉山くんの表情を伺うも嫌そうにはせず、あっさりと答えてくれた。

クールで話しかけにくいイメージだったけれど、葉山くんはきちんと返事をくれる。
そうやってよく知りもせずに壁を作っていたのは私の方なんだろうね。