その手をぎゅっと掴めたら。


カフェスペースの端にある4人掛けの丸テーブルで、側にあるメリーゴーランドを眺めながらホットドッグを頬張る。


「メリーゴーランドの白馬と、葉山くんって凄い似合うと思う」


「なんで?」


「葉山くんは王子様だもん」


「俺は王子様っていうガラじゃないと思うんだけど」


先に食べ終わった葉山くんはメリーゴーランドに視線を向けながら首を傾げる。


「絶対似合うよ!良かったら、乗ろうよ」


「その話を聞いた後では、乗りたくないんだけど」


「えー。それじゃぁ、いよいよ観覧車に乗る?」


幸せを呼ぶ観覧車。
絶対に乗ると意気込んできた。



「その前に、俺の話をしてもいい?」


「うん、いいよ」


「観覧車に乗って幸せになれるのであれば、やっぱり伝えておかないとって思うんだ。本当に幸せを求めるのであれば、なおさら君に話すべきだと思うんだ」


まさかこの場面で、昔、生徒会長と乗ったことがある…とか言わないよね?


ホットドッグの最後の一口をコーラで流し込み、頷いた。