その手をぎゅっと掴めたら。


ソフトクリームを食べた後は、ボートの形をした乗り物で水辺を探索するものなど3つのアトラクションに乗った。


時間は14時を回っていて、園内のカフェスペースで遅めの昼食をとることにした。帰り時間は自由で、帰る前に先生の携帯電話に一報を入れることになっている。


「私、買ってくるから、葉山くんは場所取りをお願いします」


「了解」


「なにがいいかな?」


2人で壁に貼られたメニューを見る。


「じゃぁホットドッグにしようかな」


「美味しそうだね。ホットドッグと、ブラックコーヒーを買ってくるね」


「うん、お願い」


そう言って葉山くんはお財布からお札を2枚取り出した。


「いいよ、ここは私が…」


「久しぶりのデートなんだから、俺に払わせて」


「いつもごめんね」


「俺が好きでやってることだから。じゃぁ先に座ってるね」


よし、決めた。
アルバイトを始めて、自分で稼いだお金で葉山くんの誕生日プレゼントを買おう。

もう来年は受験生となり長時間はできないから、冬休みの短期バイトがいいかもしれない。高校ではバイトは禁止されていないし。

密かにサプライズを思いつき、にやけそうな顔を引き締めながら店員に声をかけた。