その手をぎゅっと掴めたら。


窓から差し込む日差しを眩しそうにしながら、葉山くんは私の前に立った。


「居心地悪かった?」


「え、あー、まぁ…まさかこんなに早くクラスのみんなに言うとは思わなかったから」


「隠す理由はないから」


葉山くんはいつもひとりで行動しているけれど、堂々としていて他者の目を気にするような性格ではないのだろうな。


「…色々聞かれたよね?」

「聞かれる前に俺も逃げてきた」


ふっ、と笑った。

弧を描いた口元と少し下がった目尻。
葉山くんの笑った顔を初めて見た。

向かい合って改めて思う。
とても綺麗な顔立ちだと。

笑うと少年のようなあどけなさが見えて更に魅力が増すなんてこと、本人に口が裂けても言えないけれど。とにかく葉山くんの笑顔が好きだ。

もっと笑って欲しいな。