その手をぎゅっと掴めたら。


ジーパンのポケットに手を入れながら葉山くんは辺りを見渡した。


「2人は?」

「あ、雪ちゃんが葉山くんと2人で回ってきなって。また今度、女子だけで行こうって言ってくれたの」


返事の代わりに葉山くんは笑ってくれた。

辛いことを忘れて、今日は葉山くんに楽しんで欲しいと思う。私たちにとっても久しぶりの遠出だ。



「葉山くん、まずはカーアトラクションに乗ろう」

「あ、最近人気のアニメとコラボしている乗り物だね」

「そうそう!」


人気シリーズのアニメーションとコラボをしていて、車に似た乗り物に揺られながら冒険を始めるストーリーだ。


事前に調べた口コミではアニメを見ていない人でも楽しめると評判だった。


「ここを右だね」


マップを見ながら葉山くんに案内され、目的のアトラクションにすぐに辿り着いた。


「葉山くん、さすがだよ。私、方向音痴で全然ダメ」


まだ列に並んでいる人数も少ない。これならすぐにアトラクションに乗れるだろう。


「…実は一度、此処に来たことがあるんだ。親友と」


「え?そうなの?」


「うん。でもその時は観覧車に乗らなかったから、…幸せとは遠い生活を送っていたのかな」


自嘲気味に笑った葉山くんの言葉にどう反応したら分からず、じっと彼を見つめる。

笑顔でいられなかった代わりに、言葉を付け加える。


「じゃぁ今日は私と一緒に乗って、幸せになろうね」