その手をぎゅっと掴めたら。


クラスごとに列になっていたが、一斉に四方八方に散る。数人前に居た葉山くんはあっという間に女子に囲まれた。


ぐいっと、雪ちゃんに背中を押されてよろけながら葉山くんに近付く。


「葉山くん一緒に回ろう?」

「どこから行く?」

「やっぱり観覧車は乗るよね?」

「葉山くん、私服もかっこいいね」


みんなを押し退けて葉山くんの方へ行く。
だって、一緒に楽しむって約束したから。


「うーん。困ったな」


葉山くんは白い歯を見せて笑い掛けた。
"モテ王子"と呼ばれるに相応しい、アイドルのようなスマイルに女子生徒たちは黄色い声を上げた。


「俺、彼女と約束をしているんだ」


女子生徒たちは今まで集団に埋もれていた私を同時に振り返った。


「…そういわけで、ごめんね」


黒いロングコートを羽織り、フード付きの白いトレーナーを羽織った葉山くんは私の元へ駆け寄ってきた。


女子からの鋭い視線を受けるが、気付かないフリをした。