その手をぎゅっと掴めたら。


一週間後。

テスト週間の記憶は、ない。
いや、無理矢理に消した。

青山さんに「どうだった?」と聞かれて、曖昧に笑うしかなかった。せっかく勉強を教えてもらったのに、台無しだ。


冬休みにしっかり勉強することを心に誓い、今日は嫌なことは全て忘れて楽しむと決めた。


虹ヶ丘ランドの前で、前田先生が点呼をとる声を聞きながら、配られたばかりの園内マップを開く。


「どこから行く?」


隣りにいる雪ちゃんに尋ねる。
園内には軽快な音楽が流れ、自然とこちらのテンションも上がってくる。


「私に聞かないで、モテ王子と相談しなよ」


しかし雪ちゃんの返事は淡々としていた。


「え?だって、最初は4人で回るって…」


「別に4人で回る必要なくない?」


「なんで?4人でいいって、葉山くんも言ってたよ」


「彼氏がいるんだから、2人で過ごせばいいじゃん」


突き放されたような物言いに、楽しい気持ちがしぼむ。

あれ?楽しみにしていたのは私だけ?


「また女子だけでくればいいじゃん。せっかくモテ王子と来てるんだから、今日は2人で回りなよ」


「雪ちゃん…」


「ほら、モテ王子のところに早く行きな!」


雪ちゃんが言うと同時に、点呼確認が終了して前田先生から自由行動の許可が下りた。