その手をぎゅっと掴めたら。


ん?嘘でも嬉しい?
自分が抱いた感情に戸惑う。

もしかして私は自分の青春の1ページを彩ってくれるであろう葉山くんに期待してる?

それってすごく自分勝手で、葉山くんに失礼だ。


急に落ち込んだ気持ちと、クラス中の視線が痛くて教室を出た。

質問責めにされている葉山くんに心の中で謝りながら。




屋上は上級生の溜まり場であるし、中庭からはボールを蹴り合う男子生徒の声が聞こえた。


どこに行こう。

たかが10分の休み時間の潰し方に困ってしまう。


「なにしてるの」


後ろから聞こえた耳馴染みの良い声にはっとして振り返る。


少し後ろに両手をポケットに入れた葉山くんが立っていた。