その手をぎゅっと掴めたら。


「青山さん、ありがとうございます」


コーヒーを淹れた後、いつものように17時に来店した青山さんに定期テストの話をしたところ、「分からないところがあったら聞いて?」と言ってくれた。お言葉に甘えて少し前から詰まっていた問題を教えてもらい、お礼の2杯目を注ぐ。


「こちらこそいいの?」


「どうぞどうぞ。青山さんは大学でなにを専攻されているのですか」


「あれ?俺のこと気になる?」


「…私もそろそろ大学進学や就職のことを考えなきゃなぁって。父は好きにしろって言うんですけど」


亜夜は音楽系の大学から専門学校を目指していて、高校入学時からその目標はブレていない。
私たちはお互いのために同じ高校に通うことを止めた。私は進学校へ、亜夜はバンド活動が盛んな高校へ。亜夜から離れることは不安だったけれど、思い切って選択して良かった。葉山くんと出逢えたから。


「そっかぁ。まぁやりたいことを見つけに大学に行くってのもありだと思うんだよね。学費がかかるから贅沢な話ではあるんだけど、働いちゃうと自分の時間が減るからねぇ」